万田坑と荒尾干潟

今日は4月に学生たちと万田坑で行うイベントのために現場視察に行きました。


このイベントは「万田坑の自由な活用プロジェクト」の一環として行われるものです(下記をご覧ください)。このプロジェクトは、福岡大学熊本大学の学生たちが荒尾市世界遺産推進室のサポートのもと、万田坑の新しくユニークな活用案を企画・実施するというもので、一年くらいかけて準備を重ねてきました。その成果として、以下のイベントを行うことになっています。(以下は「広報あらお」平成31年3月号からの抜粋)うちのゼミはこのうち④を行い、今日はこのイベントのための視察でした。

 

着いたらKKTの取材班が到着したところで、夕方ニュースに流れるとのこと。成り行きで学生たちも出演することになり、イベント・リーダーの学生が八幡美咲アナウンサーにインタヴューを受けました。八幡さんがとても落ち着いてレポートしているので数年のキャリアがあるのかと思いきや、入社一年目と聞いてびっくり。


帰り道、夕暮れ時の荒尾干潟に。干潟でも、うちのゼミ生がこの夏にイベントを行います。このイベントも「万田坑の自由な活用プロジェクト」からのスピンオフ企画で、鋭意準備中です。今日は干潮で海の道ができていました。この道を行けるところまで行こうと思って歩いたものの、とても長く、半分くらいで日が暮れてしまったので、やむなく途中で撤退。でもこの道を歩いたら、有明海の風景が違って見えます。

 

2007年か8年だったかにモン・サン=ミシェルに行ったとき、もちろん、小島にそびえる修道院の素晴らしさに感銘を受けましたが、実はそれ以上に感動したのが、干潮時に修道院の後ろに現れた、無限に続くかのような砂の波でした。こんな自然の驚異的な造形を前にすれば、「西洋の驚異」と言われるモン・サン=ミシェルとて取るに足りない、とさえ思ったものでした。今日、干潮時の干潟に現れた、どこまでも続くかのような道を見て、10数年前に思ったそんなことを、思い出していました。

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万田坑の自由な活用プロジェクト」イベント一覧

①炭鉱の記憶ミュージアムin 万田坑
 万田坑に関する写真や証言(映像、文字)資料を構内各所に展示。
●日程 3 月8 日㈮~ 10 日㈰ 午前9 時30 分~午後5 時
●対象 どなたでも
●参加料 万田坑施設入場料(大人410 円ほか)

万田坑大運動会
 石炭トロッコ引き、ヘルメットバトンリレーなど、炭鉱にちなんだ道具を使った運動会。
●日程 3 月23 日㈯ 午前10 時30 分~午後4 時 ※少雨決行、雨天中止
●対象 どなたでも
●定員 各種目50 人 ※先着順。当日午前10 時から受け付け
●参加料 無料


万田坑夜のDIY カフェ~みんなで灯そう光のアート~
 日没前にLED を使ったライトアートを作成。作品に光をともしながら普段とは違う夜の万田坑の雰囲気を味わう。軽食を提供するカフェも開催。
●日程 3 月23 日㈯ 午後4 時30 分~ 7 時30 分 ※少雨決行、雨天中止
●対象 どなたでも ※中学生以下は保護者同伴。
●参加料 無料

 

④夜の炭鉱~万田坑の謎を解け!~
 「暗いところで遊ぶ」をコンセプトに、3 ~ 5 人のチームごとに協力しながら、万田坑から出された問題を解いていく謎解き形式のナイトアクティビティ。
●日程 4 月27 日㈯ 午後6 時~ 8 時 ※少雨決行、雨天中止
●対象 小学生 ※送迎は保護者同伴。
●定員 20 人程度
●申込方法 下記QR コードを読み取って応募フォームにアクセスするか、メールで申し込み。
●申込締切 4 月20 日㈯ ※先着順
●参加料 無料
問合わせ 夜の炭鉱実行委員会
E-mail yorunotankou2019 @ gmail.com

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www.city.arao.lg.jp

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

災害遺構について書いた論稿が出版されました。

 

記憶メディアとしての災害遺構―3.11の記憶術」ミツヨ・ワダ・マルシアーノ(編著)『<ポスト3.11>メディア言説再考』(法政大学出版社)pp.3-34.

 

〈ポスト3.11〉メディア言説再考

〈ポスト3.11〉メディア言説再考

 

 もうすぐ東日本大震災から8年。この時期が近づくと、「震災を忘れない」とよく言われます。しかし、歴史を振り返れば、忘れてはいけないはずの過去の災害が、時の経過とともに忘れられ、そして再び災害に見舞われるということが繰り返されてきました。こういった反復を断ち切り、災害を長期にわたって記憶することはいかに可能か?この課題に応えるための新たな記憶メディアとして、3.11以降に注目されたのが震災遺構です。

 

しかし、災害の遺構を保存して記憶に資する試みは、3.11よりも前から行われていますし、震災に限るわけでもありません。そこでこの論稿では震災遺構の上位概念として災害遺構を位置づけ、雲仙普賢岳の火山噴火遺構の事例に始まる遺構保存の系譜を辿り、3.11以前と以後とで、災害遺構による記憶の仕方ー記憶術ーにどのような違いがあるのかを論じました。

 

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この本は、国際日本文化研究センターでの共同研究がもとになっています。文学・映画/映像・メディア・哲学そして社会学などの研究者からなる学際的プロジェクトで、さまざまなアプローチが展開されています。研究会では、学問的討論の範囲を超えて、研究者間の政治的見解の相違が鋭く顕在化する場面も、時にありました(とくに原発関連で)。編者のミツヨさんが「あとがき」で示唆しているとおり、そのような違いは、おそらく本書にも表れているでしょうが、原発問題のように現在進行形で、かつ複雑な問題を扱う場合、そうなるのはおそらく不可避でしょうし、そのような相違を内包することで、問題の多面性・複雑性をより明確に浮き彫りにする本になっていれば、というのが一執筆者としての願うところです。

ともあれ、このような共同研究を主宰して出版まで漕ぎつけたミツヨさんの名オーガナイザーぶりに感謝です。

 

 

 

 

 

 

英国日本研究協会のジャーナルJapan Forumに投稿した論文"World heritage and the local politics of memory: the Miike coal mine and fu no isan"がようやく刊行されました。

 

https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/09555803.2018.1544584?journalCode=rjfo20

 

この原稿のもとになっているのは2016年12月のシンポジウム"Border of Memory: national commemoration in East Asia"での報告をもとに論文にしたものです。だから活字になるまで丸2年。長い道のりでした。取りまとめ役をしてくれたTedに感謝!

 

 

 

はてなダイアリーが終わるとのことで、はてなブログで新たにブログを再開することに。はてなダイアリーで書いた記事のインポートができないのはなぜだろう…2006年5月にブログを始めたので、約13年分の過去が消えることになるけど、新しい自分をつくるみたいでそれも良いのかな…